- ケア
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Careの音訳。コンパクト・オックスフォード英語辞典(2005年版)によれば、名詞のCareは「人と物の福祉と保護のために必要なものを提供すること」、動詞のCareは「関心をもつ」「愛情を抱く」と定義しています。意味曖昧なまま使われています。地域ケア、ケアマネージャーでは介護に近い用語であり、インテンシブ・ケア・ユニット(ICU)では治療に近い用語です。なお三宅は「直接的日常的な生活支援」と定義し、世話、介助、介護、医療など患者や障害者への日常的で直接的なさまざまな支援をケアとします。
- ケアマネージャー
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→介護支援専門員
- 健忘症
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記憶障害だけの状態。加齢に伴う生理的記憶障害を「良性健忘症」と呼ぶことがありますが、通常は、脳の外傷、脳血管障害などで生じ、生活に支障をきたしますが、健忘の程度にもよりますが、もの忘れを自覚して一人で生活は不可能ではありません。認知症や軽度認知障害とも異なる記憶関連疾患で、治療は困難です。
- 原発性進行性失語症
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若年期に発症する失語症で認知症を併発することが多く進行性で、脳細胞の変性が原因です。英語でPrimary Progressive Aphasia (PPA)という。
- 幻覚
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幻覚には、見えないはずの物が見えたり(幻視)と聞こえない音や声が聞こえる(幻聴)が多い。認知症に限らず高齢者に生じやすいのは幻視で、ふとんの上に猫がいる、壁に虫がはっているといった症状です。認知症に伴って現れることがありますが、せん妄やパーキンソン病の薬などでも生じることがあります。
- 幻覚妄想状態
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幻覚と妄想が共にあるいは一方だけが現れる状態。通常一時的で、高齢者に少なくなく原因として最も多いのは薬です。抗パーキンソン病剤では、幻覚が生じやすい。幻覚妄想状態は、記憶障害を伴う認知症、意識障害を伴うせん妄で生じることがありますが、持続的な妄想をもつ妄想症とも異なります。
- 結晶性機能
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人が比較的若い時期から長期かつ持続的に形成された知的機能。人の知的機能を便宜的に流動性機能と結晶性機能との分けることができます。このうち結晶性機能とは、生後間もない時期から、あるいは長期にわたって、あるいは持続的に獲得した機能で、知的機能として「結晶化」され容易には減退、消失しない機能です。
例えば、幼少時から覚えた日本語、食事の際の茶碗と箸の使い方、職人としての技能、青年期に覚えた歌などは高齢になっても持ち続け、容易にはなくなりません。認知症の人もこうした機能はよく保たれています。認知症が進むと結晶性機能さえ衰え、歌を忘れ、絵を描けなくなり、箸の持ち方もわからなくなり、日本語も乏しくなってしまうことがあります。
- 見当識
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狭義には時、所に関する判断能力のことですが、広義には周囲の人についての判断、状況判断を含めます。認知症で障害されやすい認知機能です。
- 軽度認知障害
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英語でMild Cognitive Impairment(MCI)といい、アメリカのピーターソンの診断基準では次の5つを満たす状態をいいます。①物忘れの訴えがある。②客観的に記憶障害がある。③認知機能全般に大きな障害はない。④日常生活に基本的な支障はない。⑤認知症ではない。MCIの人はアルツハイマー病の前駆状態でアルツハイマー病になりやすいと言われていますが、診断基準も医学的根拠があいまいであるとする意見もあります。