- レビー小体病
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レビー小体病は、認知機能の障害などを示す進行性神経疾患で、典型的には日内に変動する認知機能、幻視、パーキンソン様症状を3症状とし、脳細胞にレビー小体を広く認めます。このレビー小体病による認知症をレビー小体型認知症(Dementia with Lewy Bodies:略称DLB)といい、認知症のなかで数%から10数%を占めるとされています。
症状
日内変動する認知機能
記憶障害などの認知機能障害が1日のうちで変化しやすい。午前中は比較的正しい判断をするが、午後になると記憶があいまいになり混乱しやすくあります。また良い日もあれば悪い日もあるいった変化もあります。
幻視
「隣の部屋に人の姿が見える」「ベッドの上に猫が見える」など、とくに人物がありありとみえる幻視が特徴的です。本人もおかしいと思うこともあります。
パーキンソン病様症状
手の震顫、小幅歩行、身体が固いなどパーキンソン病に似た運動障害を認めます。レビー小体病はパーキンソン病との区別が難しい場合もありますが、通常、パーキンソン病の場合はパーキンソン病の運動障害の進行してから認知機能が低下することがありますが、レビー小体病の場合は、運動障害が軽いときに認知機能の低下を認めるという違いがあります
その他の症状
気分の変動があり、穏やかな状態もあれば無気力、あるいは不穏になるあということも一日のうちで繰り返しています。また起立性低血圧、便秘、尿失禁などの症状を示すこともあります。
原因
蛋白質のレビー小体は、パーキンソン病では脳幹などで神経細胞に認められが、レビー小体病では脳皮質など脳の表面の神経細胞に広く見られます。この物質がどのような作用をするかよくわかっていません。
診断
通常は3つの症状があればレビー小体病あるいはレビー小体型認知症と診断できます。
アルツハイマー病やパーキンソン病と紛らわしい場合がありますが、経過と症状から鑑別診断は困難ではないでしょう。
治療抗アルツハイマー病薬のアリセプトが有効との報告もあるが、承認された適応ではありません。パーキンソン病様症状には抗パーキンソン病剤をつかいますが、これが幻視を悪化させることもあります。また幻視に抗精神病薬を使う場合は副作用が現れやすく、少量から使う注意が必要です。