- 夜間せん妄
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夜間に起こるせん妄のことですが、せん妄が比較的夜間に起こりやすいのでこの用語が使われていると思われます。しかしせん妄は軽度の意識障害が伴う幻覚・妄想の状態で不穏になる状態ですが、この状態ではなく、単に不穏というだけで夜間せん妄と言っている例が少なくないようです。
確かに認知症の人にとって夜間は認識、判断がしにくい時間帯であり、せん妄のような状態になるか、せん妄の状態が悪化しやすいと思われます。
せん妄の原因(例えば脱水)を推測しながら、その原因治療と部屋を真っ暗にしなしなどの環境面の工夫と、できるだけ安心できるような会話に加え、抗精神病薬が有効なこともあります。
- 薬物療法
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認知症の薬による治療は3つのグループに分けることができます。
第1は、認知症の原因に対する治療で、アルツハイマー病には現在はアセチルーコリン分解酵素阻害剤があります。日本ではアリセプトしか使用されていませんが、海外では同様の薬がほかに2種あります。また作用が異なるメマンチンという薬が使われています。いずれも効果は限定的で、根本治療薬ではありません。
第2は、認知症の人の精神症状や行動に対する向精神薬です。向精神病薬、抗うつ剤、抗不安剤、睡眠導入剤があります。単に「問題行動」を抑える目的で使われることもあり、その使用方法は注意したい。
第3は、特に脳血管性認知症の場合の脳血管障害の危険因子である高血圧、糖尿病、高コレステロール血症などへの治療も忘れてはなりません。