- リアリティーオリエンテーション
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Reality Orientation(RO)の音訳で見当識療法ともいう。認知症の人の低下した見当識を正し、強化して認知機能の向上と精神的安定を図ろうとする療法です。具体的には、「24時間方式見当識療法」と「教室方式見当識療法」とがあります。
24時間方式は、施設のホールや食堂など目につきやすい所の掲示板に日付、施設名、施設長など施設で生活するに必要な基本的な情報を簡潔に伝え、さらに24時間の生活のなかでの語りかけの言葉のなかに意識的に時は場面に関する言葉―例えば、起床時に「おやようございます。今日は○○月○○日です。秋も深まってきました。☆☆老人ホームでの生活はいかがですか」と語りかける―を含ませます。
教室方式は、認知機能が同じ程度の認知症の人が30分ほど部屋に集まり、日常の会話をしながら例えばボードを使って、日付、施設名などを繰り返し伝え覚えさせ見当識を高めようとします。
見当識療法は現実の世界を教え認めさせようとするものであり、回想法と相反する療法とも考えられ積極的な取り組みは多くはありませんが、特に軽度の認知症の人にはこの療法が有効と実施されることがあります。また24時間方式見当識的な試みては日常の介護に取り入れてよいでしょう。
- リバスチグミン
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Rivastigminはアリセプトと同じアセチルコリン分解酵素阻害剤で商品名はエクセロンExelon といいます。軽度から中程度のアルツハイマー病に有効とされています。日本では臨床試験中でまだ承認されていません。
- リバースモーゲージ
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リバースモーゲージ(reverse mortgage)とは、持ち家など自己の不動産を担保として金融機関から融資を受け、死後不動産を売却して返済するという金融商品ことです。自宅はあるが現金や収入が少ないという高齢者が、自宅を手放さずに暮らし続けられるというメリットがありますが、地価が著しく下落したり金利が上昇した場合に担保割れを引き起こす可能性があります。1981年に創設された武蔵野市福祉公社が始めました。バブルの崩壊による地価の大幅下落で一部の福祉公社で行われている程度でしたが、最近、地価が安定してきたことから、は有料老人ホームと信託銀行が提携してリバースモーゲージを行うところも出てきています。
- リビングウイル
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英語のLiving Willのこと。日本語では「生前遺言」あるいは「生前意思表示」とも訳しています。リビングウイルとは、判断能力が保持されている時期に、死に至までの本人の意思確認ができなくなる時に本人の意思-主に延命治療に関する意思-を前以て表示しておくことです。事前意思表示(Advance Directive)との違いは、後者が延命治療も含め財産等の処分に関するより広く事柄に関する意思を表すことにあります。リビングウイルについては、日本尊厳死協会が発行している治療に関する意思表示の文書がありますが法的な拘束力はありません。むしろ成年後見制度の任意後見制度の方が法的拘束力がありますが、延命治療をどれだけ規制できるかについては広く認められた見解がないのが現状です。
- 流動性機能
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人の知的機能を便宜的に流動性機能と結晶性機能との分けることができます。このうち流動性機能とは、時間に関係し変化する状況を臨機応変に把握する知的機能のことです。
例えば道路を渡る状況を想定すると、信号、横断歩道の長さ、自分の歩く能力、周囲の車の状況などの情報を集め総合的に判断しなければなりません。あるいは新しい電化製品を使う時には、それまで使いなれていた古い製品の扱い方法から新しい製品にふさわしく方法を整理し学習しておく必要があります。 こうした機能は健康な高齢者でも低下しますが、特に認知症の人にとっては一層苦手になります。認知症の人が新しく老人ホームへ入所した時には、この流動性機能が求められるものですが、機能が低下している混乱しやすくなります。
- 臨床試験(治験)
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薬剤の開発は効果があると思われる薬品を動物実験で効果、副作用、代謝などについて調べます。この実験で効果と安全性を確かめられると、人間に対する試験を行います。これを臨床試験または治験といいます。この試験は3段階を得て行われます。第1相試験は、薬剤を少数の健康な人を対象と安全性などを調べます。第2相試験は、第1相試験の結果により同意を得た少数の患者を対象として薬剤の有効性、安全性、投与量などを調べます。第3相試験は同意を得た多くの患者(300人から500人)を対象として有効性や安全性を確認します。より科学的な判定を行うため偽薬も使う2重盲検法で行われ、服用している人も服用を指示した医師も結果を判定する人もどの患者が薬剤と偽薬のどちらを服用しているかわからないようにしています。わが国ではこの臨床試験が実施しにくい状況があり、新薬の開発が遅れています。